こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
セラピストとして活動していると、様々な壁にぶつかることがあります。技術的な課題、経営的な悩み、そして何より「このまま続けていいのだろうか」という心の揺らぎ。今日は、そんな困難に直面したときに挫けないための「仕事の捉え方」についてお話しします。
キーワードは「志」です。個人的な夢と、社会と繋がる志の違いを理解することで、困難を乗り越える力が生まれます。セラピストという仕事が持つ本当の意義と、その先にいるクライアントの未来について、一緒に考えていきましょう。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
仕事における「夢」と「志」の違い
皆さんには、それぞれ夢があると思います。多くの方が「夢を実現する」という言葉を使いますよね。しかし、仕事において「夢」だけでは足りないのです。
私にはビジネスと精神面でのメンターである出口光さんという方がいます。彼は日本文化に精通し、日本の神社関係者とも深い繋がりを持つ方です。その光さんが言った言葉で、私が目から鱗が落ちる思いをしたことがあります。
「夢は足りない」
夢というのは、基本的に自分一人のものなのです。「こんな夢を実現したい」と思うとき、それは自分個人の夢です。もちろん、家族と一緒にマイホームを持ちたいといった、大切な人と共有する夢もあるでしょう。そうした個人的な夢は、心をキラキラと喜ばせてくれる大切なものですから、たくさん見つけていってください。
しかし、仕事における夢は、夢だけではなく「志」である必要があると光さんは言いました。
志とは何か
志とは、自分の夢に加えて、社会と自分を繋ぐものです。夢よりもスケールが大きく、そこには責任も伴います。
自分の夢に気づくことはとても大切です。「これがやりたい」「こうなりたい」と感じることは、始まりの第一歩です。しかし、その夢の先に、その夢を通して自分と社会をどう繋げるか。特に、その夢が仕事である場合、社会と繋がる自分の志は何なのか、今日から考えてみてください。
光さんは「志のある教育」「志のあるビジネス」を提唱しています。私もまったくその通りだと感じています。
男性性と女性性、そして統合
特に女性は、身体とメンタルの構造上、自分の家族を大事にし、赤ちゃんを産んで育てる間は、赤ちゃんに集中する必要があります。赤ちゃんがしっかり育つまでは、パートナーでさえも少し後回しになる時期があるでしょう。これは私たちが身体と繋がって、構造的に持っている役割なのです。
そのため、メンタルもどうしても自分の大切な人や家族という小さな枠組みに意識が向きやすくなります。一方、男性は自分の家族も大切にしながら、社会というものに意識が向いています。これが男性性と女性性の特徴です。
ただし、男性だから男性性、女性だから女性性というわけではありません。私たちの中には両方の要素があり、それが一つに融合することで、本当の力が完成するのです。
夢だけでは諦めやすい理由
皆さんが勉強していて、「こういう理由があってできません」「これだからちょっと難しいです」と言うとき、とても小さな視野で、今自分が持っている現実だけを見ているように感じます。
例えば、フェラーリを持ちたいという夢はありますよね。でも、フェラーリを持ちたいという「志」はあるでしょうか。おそらくないでしょう。
しかし、もし「障害のある子供たちにスピードで走る体験をさせてあげたいから、フェラーリを持ちたい」というのであれば、それは個人の欲求や夢ではなく、志になります。
夢はどちらかというとパーソナルな感覚です。そのため、何か困難なことがあったとき、簡単に諦められてしまいます。なぜなら、自分が諦めればいいだけだからです。「この夢は別にいいや」と思えば、それで終わりです。
しかし、それが社会と繋がった志であれば話は変わります。自分がその志を諦めてしまったら、実現しなくなることがある。自分のためだけでなく、そこに関わる他の人たちの可能性まで、自分が諦めることになってしまうのです。
MTIに込められた志
このMTIは、私にとって夢でもありますが、同時に志でもあります。
もし私が諦めてしまったら、ここに来て自分の未来をステップアップするチャンスを持てなくなる方がいるかもしれません。他にもたくさんの学校がありますが、このMTIの特徴的な学びがなくなったら、皆さんが望んでいた未来が手に入らなくなる可能性があります。
だから私は、絶対に諦めません。皆さんがここで勉強して、自分の未来を本当に形にして、セラピストとして誇りを持って仕事していけるように、絶対に頑張ろうと決めているのです。
もちろん、私一人では足りません。講師のスタッフや事務局の方々に支えられて、私はその志をしっかりとキープし、皆さんを迎え入れることができています。
セラピストの仕事が持つ社会的意義
大きな心で自分の仕事を考えることを、今日から始めてみてください。
セラピストはどうしてもパーソナルな感覚になりやすい職業です。「私がやりたいのは」「私がしたいことは」という風に。それ自体は素敵なことですし、始まりはそこなのですが、自分の仕事を通して社会に何をプレゼントできるか、社会と自分はどう繋がるか、ということも考えてみてください。
世の中全部を変えることはできないかもしれません。でも、私が出会ったり関わったりする人たちに、何かをプレゼントすることはできます。
自分の夢ばかりを考えるのではなく、その先に誰がいるのかということを、いつも考えていてください。
志を持つことで得られる力
私はアフリカでの仕事も経験しました。たった一人での活動で、本当に大変でした。しかし、諦めてしまったらこの人たちの家族がご飯を食べられなくなると思ったとき、やらないという選択肢はありませんでした。
支援してくださる方々の中には、年金から寄付をしてくださる高齢者の方々もいました。「アフリカの子供たちを助けてあげてください」と。小学生がお年玉をもらって、「アフリカの子供はご飯が食べられないから、僕のお年玉の半分をあげます」と送ってきてくれたこともありました。
そうしたお金を預かって働いたからこそ、「やりたいかやりたくないか」「できるかできないか」ではなく、「どうすればできるようになるか」という思考が、ものすごく育ちました。アフリカでの仕事は、私にとって非常に大きな学びだったと感じています。
セラピストの仕事も、それに近いものがあります。人を本当に助ける、素晴らしい仕事です。
セラピストの仕事をすることによって、自分が関わる人の夢を一緒に応援できるのです。一緒に実現してあげられる。こんなすごい仕事が、他にあるでしょうか。
自分だけの夢を実現するだけだったら、限りがあります。しかし、関わる人それぞれの夢が実現するように、その人たちが最高のコンディションでいられるようにお手伝いするのが、私たちセラピストの仕事なのです。
困難に直面したときの心の持ち方
実技の練習をしていると、緊張する瞬間がたくさんあります。例えば、拳を使ったエフルラージュなど、「マッサージで拳を使うなんてあり?」と感じるかもしれません。力強い手技に不安を覚えることもあるでしょう。
自分が緊張する瞬間があったら、「緊張しているな」ということをちゃんと認めて、吐き出してください。緊張している状態にずっと囚われていると、先に進めなくなります。
緊張していることをジャッジしないで、ただ事実として「あ、緊張しているな」と認める。そして吐き出す。ニュートラルになって、しっかり身体を感じながら、進んでいきましょう。
まとめ
仕事における「志」とは、自分の夢に社会との繋がりを加えたものです。個人的な夢だけでは、困難に直面したときに諦めやすくなってしまいます。しかし、志を持つことで、自分のためだけでなく、関わる人たちの可能性のためにも、諦めない力が生まれます。
セラピストの仕事は、クライアントの夢の実現を支援できる、素晴らしい職業です。その先にいる人たちのことを常に考え、大きな心で自分の仕事を捉えてみてください。そして、困難に直面したときには、緊張を認めて手放し、ニュートラルな状態で前に進んでいきましょう。
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私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークにあるスウェディッシュ・インスティテュートで学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。
詳細については、ホームページやLINEでご確認いただけますので、興味をお持ちの方はぜひご連絡ください。皆さんのキャリアの新たな一歩をサポートできることを楽しみにしています。
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