2025.08.08

現場で、すぐに使える『筋解剖学の講座』肩甲挙筋  【筋解剖学編】

こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。

今回はセラピストの方が現場で使える筋解剖学の講座として、肩甲挙筋について詳しく解説いたします。肩こりでお悩みのクライアント様には絶対にアプローチしてあげたい重要な筋肉ですね。

ぜひ動画も併せてご覧ください。

現場ですぐに使える 肩甲挙筋 4つのアプローチ

肩甲挙筋の位置と特徴

肩甲挙筋は首の横側と背中、背面についている筋肉です。肩甲骨とそこに繋がった腕を持ち上げるための筋肉の一つで、この重さは大体3kgから5kgと言われています。

それだけの重さを持ち上げる際に肩甲挙筋にかかる力はとても大きなものです。そのため、日常生活において肩甲挙筋には相当な負担がかかっているということなのです。

この肩甲挙筋が過緊張して硬くなると、自分ではリラックスしているつもりでも実は常に肩が凝っているような、首に張りがあるような身体の印象になってしまいます。

肩甲挙筋の作用(動き)

肩甲挙筋の作用には、一側性(片側)と両側性(両側)があります。

一側性(片側が動いた時)

・肩甲骨を上げる
・肩甲骨を下方回旋する
・頭頚部を側屈させる
・頭頚部を回旋させる

両側性(両側の筋肉が一緒に動く時)

・頭頚部を伸展させる

つまり肩甲挙筋が過緊張になって硬くなると、首を横に倒したり、後ろに動かしたり振り向こうとした時、首や肩に突っ張り感や凝り感が出てくるということです。

また、ここで動きに制限がかかってくるため、可動域が制限されてしまい、肩周りや首周辺の動かしにくさも出てきます。

美容面への影響

女性に特に気になる点として、肩甲骨が上がってくると首が短く見えてしまうため、老けた印象になってしまうことがあります。

そういうお悩みを持つ女性のクライアント様のためにも、セラピストの皆さんにとって肩甲挙筋の施術はとても効果的なのです。

肩甲挙筋の起始部・停止部

起始部

頚椎の1番目から4番目の横突起に付着します。

停止部

肩甲骨の上角、内側縁の上の方の部分に付着します。

肩甲挙筋は細長い筋肉で、筋肉線維の方向性がはっきりしています。そのため、これをしっかり緩めることが血液循環を改善し、緊張を取るために非常に有効なのです。

ただし、実際には僧帽筋の下に隠れていたり、この細い筋肉線維を見つけることがなかなか難しいため、多くのセラピストの方は肩甲挙筋へのアプローチをされてこなかったと思います。

まとめ

肩甲挙筋は肩こりに深く関わる重要な筋肉でありながら、その細長い形状と僧帽筋の下に位置するという特徴から、適切にアプローチすることが難しい筋肉でもあります。

筋解剖学を正しく理解することで、効果的な施術へと繋げることができるのです。次回の施術編では、実際の施術テクニックについて詳しく解説いたします。


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