2025.05.30

【大腿部のリンパケア】梅雨時期のだるさ・不調の原因である “むくみ” を一気に緩和するマッサージセラピー講座とは?

こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。

梅雨の時期になると、多くの方が身体のだるさや不調を感じられるのではないでしょうか。その原因の多くは「むくみ」にあります。今回は、むくみを効果的に緩和するための大腿部リンパケアについて詳しくお話しします。

動画も併せてご覧ください。

むくみ対策 リンパケア オイルマッサージテクニック


リンパドリネージュとリンパマッサージの違いを知っていますか?

みなさんは「リンパドリネージュ」と「リンパマッサージ」、この二つの言葉の違いをご存知でしょうか?

実は、リンパマッサージという言葉は専門的な視点から見ると正しくない表現なんです。リンパは流れるものですから、「ドリネージュ(流す)」という表現が適切なのです。

リンパドリネージュの代表的な方法として、ボーダー式マニュアルリンパドリネージュが世界基準として知られています。これは結構ハードルが高く、2〜3年の専門的な学習が必要で、医療分野での仕事に繋がる資格となっています。

おそらく、このような専門的で習得困難なリンパドリネージュに対して、もう少し簡単に学べるものとしてリンパマッサージという言葉が作られたのではないかと思います。

興味深いことに、英語でリンパマッサージという言葉を検索してみると、ほとんど出てきません。リンパドリネージュが世界的に認められている専門的な方法だからなんですね。

私も実は、ニューヨークでアメリカで勉強していた時にリンパドリネージュを知っていましたが、リンパマッサージという言葉は聞いたことがありませんでした。なぜ日本にだけこういう言葉や方法があるのだろうと思って一生懸命調べたことがあります。

オイルマッサージは実はすごく奥が深いんです。皆さんもオイルマッサージが大好きでこの世界に入ってお仕事をしていらっしゃると思いますが、もっともっと自分が学んできたことや仕事として施術していることをよく考えてみる習慣をつけてください。それが皆さんをさらに専門家としてキャリア構築させるための大事なポイントなんです。

セラピストとしてスキルアップしていくためには、学んだことに満足せず、自分でしっかり調べて次のステップへ進むことが重要です。

一般的なセラピストができるむくみケアとは

まず重要なことをお伝えします。マニュアル式リンパドリネージュのような医療的な内容がしっかり含まれている施術は、例えばリンパ節を取ってしまった方、それによって起こる病的なむくみを持っている方、あるいは糖尿病などで本当に下半身が腫れ上がってきてしまう方、足が黒ずんで象さんの足のような形になってきている方もいらっしゃいます。そのような方たちには一般的なセラピストは絶対に施術をしてはいけません。これはリンパドリネージュをしっかり学んで資格を持っている方にお任せしてください。

では、私たちができるむくみケア・リンパケアとは何でしょうか?

医療的なリンパドリネージュは専門資格が必要ですが、私たちができるむくみケアがあります。それは軽く流すという一般的な方法に加えて、筋骨格系からのアプローチです。

川の流れをイメージしてみてください。川がゆっくり流れているとき、マニュアル式のリンパドリネージュは血液の流れよりもゆっくりしたリンパの流れに合わせて、手をゆっくり置いてスローなスピードで動かしていきます。それによって滞っているリンパの流れを改善していくのです。

ところが、川が流れていてもそこに丸太がドンとあったら、ここで流れは止まってしまいますよね。丸太を取り除かない限り、どんなに流そうとしても、ドリネージュしても流れないことがあります。一般的に健康な方でむくみが起こる場合は、実はこちらの原因がすごく多いのです。

そして、その「丸太」を取り除くために必要なのが筋骨格的に筋肉を緩める施術なんです。

つまり、私が「丸太」と言ったのは、筋肉の中で特徴的に強く緊張する筋肉があったとしたら、それが他のところの流れを止めてしまうということなんですね。

健康な方のむくみの原因は、この筋肉の緊張によるものが多いため、筋骨格系からのアプローチが非常に重要になってくるのです。

ハムストリングスがむくみに与える影響

むくみになったことがない女性はいないと思います。むくみの80%以上がふくらはぎのむくみで、そして20%ぐらいが大腿部あるいは臀部、あるいは足首や足の甲のむくみなんですね。

その主に膝下の流れを悪くしてしまうのが、大腿部にあるハムストリングスなんです。

ハムストリングスは非常に面白い形をしています:

・骨盤の坐骨結節のところに起始部があって
・そこから二つに両側面に分かれていって
・膝の内側と外側で停止する特殊な形

ハムストリングスはほとんどの方が緊張していますが、ここが硬くなると、足の膝下の体液・血液・リンパの流れを止めてしまうのです。そのため、ハムストリングスの緊張を緩めることが、リンパケアにおいて筋骨格的に非常に重要なポイントとなります。

ハムストリングスの緊張を取るための3つの施術方法

ハムストリングスの緊張を効果的に取るためには、実は秘密があります。それはどのストロークを使うか、そしてどの順番で使うかです。何をするにも実は順番というのはすごく意味があるんです。プロはこの秘密を知っています。

1. スキンローリング(最初に使う)

スキンローリングは皮膚から、その下にある皮下脂肪、そして割と表面にある筋肉にもアプローチします。そこの流れを良くして、かつ硬くなっているところを柔らかくするので、さらに流れが良くなります。

具体的な方法:

・皮膚をしっかりと掴んでロールする
・掴んだ後、拳を進行方向に向けて押し出すようにして、この中で皮膚をローリングさせる
・車輪が転がるような感じで移動する
・硬さがあった部分が柔らかくなり、血流の循環・体液の循環も回復してくる

ただし、これはあくまで表面的な部分です。深部にどんどん圧を入れていくためには、やっぱり表面が緩んでないとその下に圧をかけられないので、丁寧に位置を変えながらスキンローリングをします。

2. スクイージング(より深部へ)

スクイージングはスキンローリングよりもさらに深部の組織・筋肉も含めて、しっかり掴んでそこを緩めることができます。

具体的な方法:

・ハムストリングスの両側からしっかり掴んで、スクイーズ(絞る)する
・レモンをぎゅっと絞るような感じでしっかりスクイーズ
・ローリングのように転がすのではなく、絞ることが目的
・指に力を入れすぎると嫌な痛みが出るので、しっかり筋肉を捉えるが必要以上に指に力を入れない

3. エフルラージュ(最後の仕上げ)

このスキンローリングもスクイージングも緩めることが目的でした。そこで最後に、リンパドリネージュに匹敵する筋骨格で効くエフルラージュのテクニックを使います。そうすると、柔らかくして流れる準備をしたものを、エフルラージュで流すことができるんですね。

具体的な方法:

・手のひらを使って筋肉の厚みのある部分に適切な圧をかける
・骨を利用して、そこに押し付けるような感じ(骨自体は絶対に押さない)
・筋肉の厚みのある部分だけに圧をしっかりかける

さっきすごくボーンと硬くなって少しラインが見えていた内側部のハムストリングスもゆっくりした感じになり、血液の循環が回復してむくみが解消されていきます。

施術の実際のポイント

実際の施術では以下の点に注意が必要です:

スキンローリングの注意点:

・皮下脂肪と筋肉が結構しっかりくっついて一体化している場合は、何回もスキンローリングして、硬く固まって緊張して固まっているところをだんだん柔らかくしていく
・最後のローリングした最後のところは、もう皮膚だけになるので、あまり強くホールドしすぎるとピンチ(詰めてるような感じ)になってしまうので気をつける

スクイージングの注意点:

・坐骨結節のところは外側と内側を分けることはできないので、両側を思いっきりがっつりとして、そしてだんだん外側部のところに持っていってスクイーズ
・停止部に近いところや起始部に近いところは骨に近いので、真ん中は割と筋肉が持ち上がるが、持ち上がりにくい
・スクイーズする時も上に持ち上げようとしすぎなくていいので、押し付けてちょっとだけスクイーズするような感じ
・粗線の外側唇を起始部に持つ短頭が加わってくる部分では、骨を利用して筋肉の厚みのある部分に圧をしっかりかける
・硬い感じの大腿二頭筋の短頭が捉えられて緩んでいるのを確認する

エフルラージュの注意点:

・手のひらのエフルラージュで流す
・骨を利用してそこに押し付けるような感じで行う(骨自体は絶対に押さない)
・筋肉の厚みのある部分だけに圧をしっかりかける

学んだことのアウトプットの重要性

皆さんがこうやってご覧になった後、すごく大事なのはアウトプットです。そこでようやく本当に自分の内で身になるんですね。

今日皆さんが面白かったこと、理解したこと、それから参考になったこと、それからもしかすると「あ、もうちょっとここの説明聞きたかったな」とか「こういうところちょっと私分からなかったな」とか、何でも良いです。コメントをしてみてください。

それによって皆さんの中でこの体験がまとまるんですね。アウトプットすることで、学習内容が整理され、より深い理解につながります。

まとめ

梅雨時期のだるさや不調の原因となるむくみは、適切なリンパケアで大幅に改善することができます。

今回お伝えした重要なポイントをまとめると:

リンパドリネージュとリンパマッサージの違いを理解すること 専門的な視点から正しい知識を持ち、セラピストとして成長し続けることが大切です。

健康な方のむくみの多くは筋肉の緊張が原因 特に、ハムストリングスの緊張を緩めることで、下半身全体の循環が改善され、むくみの解消につながります。

正しい順番での施術が重要 スキンローリング→スクイージング→エフルラージュの順番で行うことで、より効果的な施術が可能になります。プロはこの秘密を知っています。

医療的な問題との区別 リンパ節を取った方、病的なむくみがある方、糖尿病による重度のむくみがある方などには、一般的なセラピストは絶対に施術してはいけません。専門資格を持つ方にお任せすることが重要です。

継続的な学習の重要性 学んだことに満足せず、常に探求心を持って知識を深めていくことが、セラピストとしての成長につながります。

MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)のご案内

私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークの大学で学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。

詳細については、ホームページやLINEでご確認いただけますので、興味をお持ちの方はぜひご連絡ください。皆さんのキャリアの新たな一歩をサポートできることを楽しみにしています。

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