こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
今回は、解剖学を実際の施術に活かしたいセラピストの皆様に向けて、斜角筋のパルペーション(触察)方法についてお話しします。斜角筋は位置関係がやや分かりにくい筋肉ですが、ポイントを押さえれば指でしっかりと捉えることができます。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
斜角筋の位置関係を理解する
斜角筋は、前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋の三つに分かれていますが、実際には割と一体化しており、はっきりと境界を見分けるのは簡単ではありません。
この筋肉が付着する横突起には、他にもさまざまな筋肉が付着しています。また、斜角筋のもう一方の付着部は肋骨で、鎖骨を越えて肋骨に停止しています。そのため、鎖骨の下の方までパルペーションで潜っていくのは、少し難しく感じられるかもしれません。はっきりとした形をそのまま捉えることは難しいのですが、一部であれば指で触れることが可能です。
首の前面の三角形を目印にする
まず目印にしたいのが、首の前面にできる三角形です。この三角形は、鎖骨、SCM(胸鎖乳突筋)、そして鎖骨の外側1/3から上項線まで走る筋肉、この三つのラインで構成されています。斜角筋は、この三角形の中でパルペーションすることができます。
斜角筋はかなり奥の方に位置する筋肉なので、三角形の中央よりやや下、下1/3程度の位置でパルペーションするとよいでしょう。SCMの後ろ側、鎖骨頭の後ろ側、鎖骨の上、そして僧帽筋が後ろ側にあるこの辺りを少しパルペーションして、実際に観察してみてください。
実際にパルペーションしてみる
このあたりを触ると、斜角筋の動きである後ろ側のラインがはっきりしてきます。下に壁のような筋肉を感じられると思います。そのまま鎖骨を経て、肋骨の方向へ少し圧を降ろしていくと、そこが斜角筋の壁のような部分にあたります。
そこから頸椎の横突起へと付着部が続いていきます。この動きを作用させている状態では、この部分はキーンと張った状態になります。上の方に行くと筋肉が被さっているため、少し柔らかく感じられるはずです。
前斜角筋に続いて、中斜角筋、後斜角筋についても、大雑把にではありますが、位置関係だけでも指で探っておくとよいでしょう。はっきりと見分けることは難しくても、位置の感覚をつかんでおくことが大切です。
なお、前斜角筋の位置が分かると、その前方には鎖骨下静脈があることも意識しておいてください。
パルペーションの際の注意点
筋解剖学ですでにご存知の方も多いと思いますが、斜角筋のあまり後ろの方までパルペーションを進めてしまうと、神経や血管を圧迫してしまう恐れがあります。この点には十分注意しながら触れるようにしてください。
まとめ
斜角筋は前中後の三つの部分が一体化しており、境界をはっきりと見分けることが難しい筋肉です。
しかし、首の前面にできる三角形(鎖骨・SCM・鎖骨外側1/3から上項線までのライン)を目印にすることで、パルペーションの位置を見定めることができます。
三角形の中央よりやや下の位置から、鎖骨を経て肋骨方向へ圧を降ろしていくと、斜角筋特有の壁のような感触をつかむことができるでしょう。そこから頸椎の横突起へと続く付着部の感覚も、ぜひ確かめてみてください。
ただし、後方へ進みすぎると神経や血管を圧迫する恐れがあるため、注意しながら丁寧にパルペーションを行うことが大切です。
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