こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
前編では、エフルラージュ、プランに基づいた集中的アプローチ、そしてストリッピングについてお伝えしました。後編では、最も重要な上部線維へのアプローチとして、スクウィージングのテクニックを詳しくご紹介します。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
僧帽筋へ的確にアプローチするマッサージセラピー施術テクニック
上部線維への効果的なアプローチ
次に最も気になったのが上部線維です。上部線維のU字型になっているところに最も効果的なのが、スクウィージングという作業です。
スクウィージングは、このように掴んでスクウィーズします。スクウィーズというのは、例えばレモンをスクウィーズするという使い方をすると思いますが、掴んで絞るというくらいの、しっかりした感じです。
しっかりと摘まみます。スクウィーズしていて、全然滑らないのがお分かりいただけるでしょうか。
スクウィージングの圧のかけ方
拇指を基点にして軸にして圧をかけるやり方もありますし、同じように見えるのですが、今度は四指側からしっかりと圧を加えるやり方もあります。
これを例えば交互にしっかりと、少し動きを伴って行うスクウィージング、あるいはしっかりと起点を決めて圧をただ加え続けるだけで、少しずつ緩んでいくスクウィージング。
これはただ持ったまま止まっているのとは違って、ちょっとずつ圧をプラスしているので少しずつ滑っていきます。
一般的なスクウィージングとの違い
見ただけではなかなか分からないポイントがあります。リラクゼーションのマッサージを行っている方が一般にやっているスクウィージングは、ボディメカニクスのクラスで詳しく説明しますが、筋肉の表面と皮膚を刺激しているだけなのです。
ところが、このスクールで教えているディープティッシュの、私が開発したボディメカニクスを取り入れたスクウィージングでは、ここまでしっかり掴むことができます。そして圧を加え続けているのですが、滑りません。
さらに、このつまんでいる状態、スクウィーズしている状態というのは、指に全く力が入っていないのです。ただこの位置をしっかりとボディメカニクスで保持しているだけです。安定させて維持しているだけなので、疲れません。
それから、指に力が入っていないので、クライアントにとってはとても心地よい深い圧になります。
効果の違いは歴然
筋肉の表面をただツルツル滑る心地よいだけの圧ではなく、筋肉の深部までしっかりと圧がどんどん加算されて、圧が内側まで入っていくこのスクウィージングは、見ているとそんなに違いは分からないかもしれません。
しかし、受け手のクライアントの方からすると、心地よさや効果が10万倍くらい違うのです。ツルツル滑って気持ちいいなというのとは違う、「こんなに圧が内側まで入ってきてくれるんだ。筋肉が内側から自然に緩んでいく」という、素晴らしい良質なディープティッシュのストロークになります。
四指を使った鎖骨付着部へのストローク
今度は指を引っ掛けて、鎖骨の付着部まで引くストロークを行います。
これも、もしかするとリラクゼーションの施術をしている多くの方が同じような形の作業をされているかもしれません。しかし、私は生徒さんやワークショップでたくさんのセラピストにお会いしますので、全国からいらっしゃるセラピストの施術を見せていただくと、ここではもう本当に手が滑っているだけなのです。
しかし、私の四指を使ったこのストロークは、四指が筋肉を本当に力強く捉えます。そして、四指をサポートする左手の指の使い方も特徴的なのですが、筋肉をしっかり捉えて筋肉の内側まで圧を届けるので、クライアントは「すごく気持ちがいい、そのままいてほしい」という感触で施術を体験されます。
私の方は、それだけ強くしっかり圧をかけているにも関わらず、身体全体を引いた画面で見ていただくと分かりますが、指や腕で作業していなくて、自分の身体全体で効果的なこの圧を作り出しているので、全く疲れません。ずっとしっかりしたこの圧を保持していても身体は全く疲れません。
上部線維の後頭骨付着部へのアプローチ
最後に、上部線維の後頭骨への付着部である上項線への施術としては、四指を当てて、筋膜と一緒に引いていくような作業がとても効果的です。
この時も、この筋肉と筋肉の最後の付着部、それから筋膜を一緒に捉えているのですが、この捉え方はボディメカニクスによって指が鍛えられてくるとしっかり捉えることができます。
そうでないと、髪の毛の上を指がツルンツルンと滑ってしまって圧が深く届きません。これは実際にパルペーションやボディメカニクスで指を鍛えて、繊細にしながら指を鍛えていくことで、頭蓋骨のギリギリのところまでの感触がだんだん分かってくるのです。
ここまで本当に繊細な感覚で力強く施術ができるようになると、本当に施術が楽しくなってきます。
首全体のスクウィーズ
上部線維の筋腹をどうやって緩めるかというと、今度は首全体をスクウィーズするような感じです。
四指を中心にスクウィーズする時はこちら側から。そして拇指を中心にしてスクウィーズする時は、こちら側から。(動画でご確認ください)
このように、使う指によっても同じスクウィーズでも、首の部分の僧帽筋の緩め方は変わってきます。
さらに、このオイルの作業をした後に、私はいつもシーツを使って、シーツの上から今度は滑らない状態でポイントワークを入れるのですが、それは授業でのお楽しみです。
まとめ
今回は、僧帽筋への的確なアプローチについて、前編と後編に分けてご紹介しました。
一般的なリラクゼーションマッサージとは異なり、解剖学に基づいた正確なパルペーションと、ボディメカニクスを活かしたディープティッシュのテクニックを用いることで、クライアントに深い満足感を提供しながら、セラピスト自身の身体への負担を最小限に抑えることができます。
ポイントは以下の3つです:
- 筋肉の起始停止を正確に理解し、触察で位置を特定すること
- ボディメカニクスを活用し、指や腕だけでなく身体全体で圧を生み出すこと
- 筋肉の深部まで届く圧をかけながらも、セラピスト自身は疲れない施術を行うこと
授業では、もっと面白い施術、効果が出る施術、プロの施術をぜひ皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。お待ちしています。
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私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークにあるスウェディッシュ・インスティテュートで学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。
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