こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
コロナ禍において運動不足や在宅ワークが増え、パソコンで長時間集中して作業をする方が増えました。その結果、「肩も凝るし、背中も腰も痛い」という複合的な症状に悩む方が多くなっています。今日は、このような肩こりと腰痛の両方に効果的な脊柱起立筋群へのアプローチ方法をご紹介します。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
腰痛・肩こり 疲れに効果抜群 Deep Tissue
肩こりと腰痛に共通するキーポイント:脊柱起立筋群
それぞれの部位には個別の原因があり、細かい施術も重要ですが、肩こりと腰痛の両方に共通して効果的なアプローチがあります。そのキーとなるのが「脊柱起立筋群」です。
脊柱起立筋群は、背骨(脊柱)の両側を縦に走る筋肉群です。頸椎から腰椎まで連なる脊椎の両側に位置し、この筋肉群を縦にしっかりと施術することで、肩こりと腰痛の両方に効果を発揮します。
解剖学的な理解を深めよう
脊柱起立筋群の位置を正確に把握するためには、解剖学的な理解が重要です。背骨は頸椎、胸椎、腰椎が一本の柱のように連なって形成されています。それぞれの椎骨には「棘突起」と呼ばれる後方への突起があり、これは恐竜の背中にあった骨が退化したものです。
この棘突起を触察で確認し、そこから横にストンと圧を落としていくと、脊柱起立筋群に到達できます。
効果的なオイルマッサージの手法
準備段階:全体的なエフルラージュ
まず全体的なエフルラージュで血液循環を促進し、身体を温めてからディープワークに移行します。
1. 拳を使った準備ワーク
幅広の拳を使って脊柱起立筋群のエリア全体を緩めます。この段階では運動量を上げ、スピードを速くして血液を温めることが重要です。真のディープリラクセーションを得るためには、全てをゆっくりと行うのではなく、適切な運動量のあるタッチを使い分けます。
2. 拇指ストリッピング
拇指をしっかりと立てて、ピンポイントで圧をかけながらゆっくりと仙骨の先まで施術します。圧を入れる瞬間が重要で、途中から圧を強めようとすると指に余計な力が入ってしまうため、最初からボディメカニクスを使って後ろ足で作り出した圧を拇指の先まで届けます。
3. 前腕を使ったテクニック
クライアントの肌の状態に合わせてオイル量を調整しながら、前腕を使ってより広い範囲にアプローチします。
4. 肘を使った深部アプローチ
肘は脊柱起立筋群と棘突起の間の溝にしっかりとハマらせることが重要です。滑ってしまうとクライアントに不快感を与えてしまいます。ボディメカニクスを使って肘を埋め込み、確実に圧を届けます。
腰椎と腸骨稜が出会う部分、仙骨の最上部のポイントでしっかりと圧を入れ、そこから腸骨稜に沿って脊柱起立筋群の内側から外側に向けて圧をかけます。
5. 仕上げの拇指ストリッピング
筋肉が緩んだ状態で再度拇指ストリッピングを行います。この段階では触察で硬結部位を見極め、必要に応じて戻りながら丁寧に施術します。指に力を入れすぎず、ボディメカニクスを活用することで美しい圧を実現できます。
セラピストとしての身体作りの重要性
しっかりとした圧を入れるためには、セラピスト自身の身体作りが欠かせません。ボディメカニクスの習得と併せて、施術の道具として自分の身体を使いこなせるよう鍛えていくことが重要です。
正しいボディメカニクスが身についていれば、同じ姿勢を10分間維持しても疲れることなく、効果的な施術を提供できます。
まとめ
脊柱起立筋群へのアプローチは、肩こりと腰痛の両方に効果的な施術法です。解剖学的な理解に基づいた正確な触察と、適切なボディメカニクスの使用により、クライアントに深いリラクセーションと症状改善をもたらすことができます。
セラピスト人生の初期段階でボディメカニクスをしっかりと学ぶことで、長期的に大きな利益を得ることができるでしょう。
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私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークにあるスウェディッシュ・インスティテュートで学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。
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