こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
今回は肩こりの首謀者である僧帽筋をテーマに、プロのセラピストが知っておくべき触察技術について解説します。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
肩こりの原因 僧帽筋の見つけ方
なぜ触察技術が必要なのか
オイルマッサージにおいて、触察(パルペーション)の技術は必須です。2次元で筋解剖学を理解したものを、実際に目の前にいるクライアントの身体で骨や筋肉を見つけることができなければ、プロの施術とは言えません。
なんとなく「肩こりだからこの辺り」という適当な施術ではなく、形のない状態で筋解剖学を使ってオーダーメイドの施術を作り上げていくのです。
身体は人によって違います。同じ筋肉でも、形や位置、大きさ、質感が異なるため、テキストブックとは違う3次元のクライアントの身体で、正確に筋肉を見つけなければなりません。
触察とは何か
触察というのは、日本語で言うと「診察」「触察」という言葉があります。一般的には「触診」と言われるものですが、私たちは「触察」という表現を使っています。
僧帽筋の触察に必要な骨の位置
僧帽筋を特定するために重要な骨は以下の通りです:
・後頭骨
・頸椎・胸椎(脊椎)
・肩甲骨
・鎖骨(身体の前面)
これらの骨を正確に見つけることが、僧帽筋の触察の第一歩です。
後頭骨の位置確認
後頭骨は大体ヘアラインと重なります。頭蓋骨の後ろ側の丸みを見つけてください。そうすると首の部位との違いが分かってきます。
この真ん中のところから頸椎が下に下がっています。背中側から触れられるのが棘突起の部位です。恐竜の背中の尖って出っ張っているような、人間版の骨の凸凹が脊椎の棘突起になります。
肩甲骨の触察方法
基本的な触察の進め方
身体の部位は右側を使うのが国際基準なので、右側で確認していきます。
目視でご覧になれるところが、肩甲骨の一番下の部分です。ただし、これは個人の身体型や筋肉のつき方によって見え方が変わることを理解しておいてください。
肩甲骨の重要なポイント
下角:肩甲骨の一番下の三角形のところ
内側縁:下角から脊柱に近い側のふち。肩甲骨の内側、身体の中心に近い側
上角:内側縁を上に辿っていった一番上の部位
外側縁の確認
下角から外側のふちを辿っていくと、下3分の2ぐらいまでははっきりとします。しかし、肩関節に入る辺りはだんだんと分かりにくくなってきます。これは肩甲骨から上腕骨に付着する回旋筋群が重なってくるためです。
肩甲棘の位置
上角から内側縁を下に降り、その内側を探っていくと、平たいお皿の上に1本の小高い一直線が乗っかっているような感触になります。これが肩甲骨の肩甲棘です。
肩甲棘は内側縁から外側縁に向かってまっすぐに伸び、ここから少し方向を変えて前に飛び出していきます。
肩峰の確認
肩甲棘から90度ぐらいの角度で前に飛び出している部分を肩峰と言います。崖の絶壁のところで突き出しているようなイメージです。
ここと身体の前面の鎖骨が関節を形成しているので、肩甲棘から肩峰の前の部分を辿っていくと鎖骨が見えてきます。
まとめ
骨学編では、僧帽筋の触察に必要な基本的な骨の位置確認について解説しました。肩甲骨・肩峰・鎖骨がV字形を形成する部分に僧帽筋が付着しています。
筋肉は必ず骨に付着しているため、まず骨の位置を正確に特定することが、正確な筋肉の触察につながります。後編では、実際に僧帽筋の形状を浮き上がらせる方法と、その触察技術について詳しく解説します。
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