2025.07.04

【頭痛を緩和するヘッドマッサージ】筋解剖学を生かした効果的なアプローチ方法とは?

こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。

今回は、頭痛を緩和するヘッドマッサージについて、筋解剖学を生かした効果的なアプローチ方法をご紹介します。多くのセラピストの方が抱える「なんとなく施術している」という悩みを解決し、理論に基づいた確実な効果を実感できる施術方法をお伝えします。

ぜひ動画も併せてご覧ください。

頭部へのアプローチ方法 施術解説

現場で感じる課題と改善の必要性

多くのセラピストの皆さんが日々現場で感じているのは、お客様が「ここが痛い」「違和感がある」と言われた箇所を「なんとなく」施術している状況ではないでしょうか。

また、お客様に「すごく良かったです」「気持ちよかったです」と言っていただけても、一体どういう理由でどの技術が役に立ったのかという説明が自分でもよくできない、わからないという経験をお持ちの方も多いと思います。

さらに、教えられたままに型通りの施術をしている方も日本ではとてもたくさんいらっしゃいます。しかし、これからの時代はそれはもう通用しなくなっているということを感じている方もすごく多いのではないでしょうか。

今がチャンスです – プロに必要な4つの柱

みなさんにとって今がチャンスです。クライアントの身体をきちんと理解して、クライアントが言っている主訴の状態をちゃんと理解して説明のつく施術をするということはプロとしての常識ですよね。

みなさんにとって今すごく必要なのは、まずは姿勢観察をしてその方の主訴の原因をきちんと理解して、それに合わせた施術ができることです。見立て・分析をして、適切な機能を改善する施術ができることが一番重要になってきます。

そのために必要なのは以下の4つの柱です:

  1. 筋解剖学の知識 – クライアントの身体で確認できる触察の技術
  2. ディープティシューのストローク – 皮膚だけではなく筋肉にしっかり圧が落とし込まれる技術
  3. ボディメカニクス – しっかり筋肉に圧を入れる時、身体の負担にならない、身体を痛めない技術
  4. 説明力 – きちんと理由がわかって、クライアントの主訴の原因がちゃんと理解できて、きちんとクライアントに説明できる力

この4つの柱がオイルマッサージのプロになるために絶対に必要なことです。

効果的なヘッドマッサージの実践方法

後頭部へのアプローチ

まずは後頭部の後頭骨稜、上項線とか、下項線のあたりに四指をしっかりと受け止めるような感じで置きます。ここで少し肘を前に出して後頭骨稜に指のトップを押し付けます。

そこで頭皮膜あるいは前頭後頭筋の後頭筋のあたりをしっかりと捉えて、そこからこの捉えたまま頭蓋骨に押し付けている感覚を利用しながら、ずっと引っ張っていきます。

女性の頭部は5~6キロある頭部の重みがちゃんと施術者の指に押し付けられているような感じです。つまり、膜や筋肉をしっかり挟みながらゆっくり移動しているのです。

これを両手で一緒にやってもいいですし、片側だけに集中してやってもいいです。そのとき例えば、両側だったらこの鼻が上を向いている位置が一番、頭部の重さが指に捉えられやすいです。もし右だけを強調するのであれば右側に少しだけ、30度ぐらい傾けるとちょうど掌を置いているトップのところに圧が集中します。

帽状腱膜へのアプローチ

後頭筋、そして帽状腱膜があって、額のところに前頭筋がある。こういう風にC字型に繋がっています。その帽状腱膜の前面を緩めて圧をかけて少し頭部からずらしていくような感じで施術します。

左右にずらしていく感じで、右の指でずらして、次に左の指で反対側にずらして、片側ずつ交互にしてもいいですし、両方を合わせてやっていくと腱膜をずらすことによってその癒着を解消することができます。

ほとんどの方は頭部の施術は受けないので、ここは割とカチカチの方が多いです。あるいは、逆に頭皮の下に水分が多すぎて、少しぶよぶよになっている感じの方もいらっしゃいますが、これもあまり良いこととは言えません。

安全なボディメカニクスの重要性

この時すごく大事なのが、指だけでやろうとすると確実に指を痛めますので、上腕骨を使って上腕骨で脇を締めるような感じで拇指を使うと拇指への負担が本当に少なくなります。

よくヘッドスパでシャカシャカという感じの動きをされると思いますが、これは指の屈筋をすごく使うので、関節炎になりやすいです。関節の炎症身体質になると本当にその後回復が難しくなってくるので、なるべく関節を動かさないで骨で圧を伝達して自分の指を守るやり方を、このようにボディメカニクスで身につけられることをお勧めします。

ヘッドスパとマッサージセラピーの違い

サラサラ、シャカシャカと音がするような施術は頭皮をターゲットにしています。なので例えば毛根の汚れが取れたり頭皮ケアのためにはとても良いと思いますが、それより深いところ、つまり筋膜、腱膜あるいは筋肉には圧は届きません。

なのでしっかり圧を入れてずらしていくような感じの施術が、ヘッドケアのためには実は一番効果が高いです。

ヘッドスパはエステティックのやり方を基本にして作られていますが、今私がお見せしているのはマッサージセラピー、つまり姿勢改善をベースにした筋骨格的なアプローチです。つまり理論も違えば施術のポイントも確実に違います。

前頭筋への効果的なアプローチ

帽状腱膜、前頭筋は眼窩の上隆起のところ、つまり眉毛があるところで止まっています。ここは四指でしっかり圧をかけて今度は上に引っ張ってくるような形で施術します。

これは皮膚はそんなに動いていません。圧をしっかり筋肉、前頭筋のところに入れているので、皮膚を引っ張るような、引っ張りすぎるような形にはなっていません。

よくフェイシャルで小皺ができるので絶対に顔に強い圧をかけてはいけないと言われていますが、それはフェイシャルの常識です。筋骨格系のアプローチとしては筋肉にしっかり圧が入っていれば、皮膚の表面を引っ張ると皮膚が引っ張られて小皺が出やすくなりますが、これは筋肉の深いレベルに圧が入っているのでフェイシャルの常識とは違う筋骨格系の施術の常識だということを知っておかれると、とても良いと思います。

胸鎖乳突筋への重要なアプローチ

頭部を少し倒すと、耳の後ろに丸く出っ張った骨が見えます。これが乳様突起です。この乳様突起から、首の横側から鎖骨そして胸骨柄まで、胸鎖乳突筋が横切っています。

ここを緩めて、そして胸のところにある胸骨筋のあたりまでいくと、この座った位置で頭部に対してストレスがかかっている筋骨格系、あるいは筋膜的にストレスがかかっているのを有効的に緩めることができます。

ここはまずはこの乳様突起、骨をまた利用します。ここに拇指の頭(先端)を押し付けて、そして指に力を入れてはいけません。指はリラックスしているけどしっかりした位置に置きます。しっかりした位置とは、拇指の頭から前腕までが一本の棒のようになっている位置です。

頭痛の原因となる筋肉の緊張

あまり多くの方はご存じないと思いますが、この部分はもうすでに頭痛の原因にもなっていたりします。

頭部を支える筋肉は常に緊張しています。なので、頭痛というとこの毛髪があるところの、あるいは前頭部とかで起きていると思う人が多いですが、実はこの耳の後から首に繋がるラインの緊張、この痛みに関与しているところは非常に大きいのです。

しかしながら、通常のアロママッサージのような形でツルンツルンとオイルで滑るような施術だと、ここまで圧は入らないので、しっかりとマッサージセラピーの筋骨格系のアプローチ、その技術を手に入れると良いと思います。

胸部への連続的なアプローチ

胸鎖乳突筋から胸骨筋膜、胸骨筋、それから胸骨軟骨膜へと繋がっていて、緊張がそうやって伝搬します。そこを緩めていくのにまず胸骨筋に四指の中指、そして人差し指、薬指全部の指で、中指をサポートしながら、ここで圧をかけて少しフリクションをします。

この時も指には力を入れないで体重をただ伝えて移動させる感じで、少しずつ揺らしていきます。そして胸骨の横に胸骨筋があるので、そこを捉えて左右で何回かすると胸もすっとします。呼吸も深くできるようになります。

頭部とか頸部の位置を改善するだけではなくて、そういうプラスの要素もあります。

まとめ

筋解剖学を生かした効果的なヘッドマッサージは、単なる「気持ち良い」施術ではなく、クライアントの主訴の原因を理解し、理論に基づいた施術を行うことで確実な効果を生み出します。

正確な筋解剖学の知識、適切な触察技術、ディープティシューのストローク、そして安全なボディメカニクスの4つの柱を身につけることで、説得力のあるプロのセラピストとしての道を歩むことができます。

エステティックなアプローチとは異なる筋骨格系のアプローチを学ぶことで、頭痛の根本的な原因にアプローチし、クライアントに真の改善をもたらすことができるのです。

MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)のご案内

私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークにあるスウェディッシュ・インスティテュートで学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。

詳細については、ホームページやLINEでご確認いただけますので、興味をお持ちの方はぜひご連絡ください。皆さんのキャリアの新たな一歩をサポートできることを楽しみにしています。

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