こんにちは。MTI(マッサージセラピー・インスティテュート)学長の國分利江子です。
必ずお客様にね、「私、筋肉硬いんですよ」と自己アピールされる方がいらっしゃいますよね。
今日のコラムでは、皆さんが現場でクライアントに使える説明をお伝えしたいと思っています。
ぜひ動画も併せてご覧ください。
筋肉が硬くなる理由 解説と施術
なぜ筋肉は硬くなるの?
と言った時、多くの方が「加齢」という答えにたどり着くのですね。
確かに、筋肉繊維の組織が変化してきて、老化してきて、筋肉が硬くなるということもあります。でも、皆さんが「歳ですよ、歳だからしようがないんだよね」とおっしゃっているのは、実は違うんですよ。どうぞ諦めないでください。
筋肉は使わないから硬くなるのですね。ということは、朗報です!
どんなに歳を取っても日々筋肉を使っていたら、筋肉あるいは身体は硬くなりにくくなるということなんです。
筋肉が硬くなる理由を詳しく解説
筋には抵抗性があります。そして、筋肉を使わないとこの抵抗性が上がるので硬くなります。
もう一つ。筋肉には筋肉の最小単位サルコメアというのがあるのですが、使わないとこの数が減るので硬くなっていくという、主にそのような理由があるのですね。
筋肉の構造について
簡単に筋肉について見ていくと、筋肉は骨にくっ付いています。腱を通してそして一つの筋肉の単位がここにありますね。
筋肉のこの中にはいくつもの束がある、その一つずつを筋束と言います。で、筋束の中にもたくさんの束があってそれらを筋線維と言います。
そしてこのひとまとめになった筋線維の一つずつのことを筋原線維と言うんですね。そしてこの筋原線維は何で構成されているかって言うとそれがこれですね。
これはもちろん左右に続いていくんですけど、アクチンとミオシンというのを聞いたことがあると思いますが、筋原線維は主にこの二つの組織からできてるんです。ここからここまでがこの最小単位筋原線維の最小単位サルコメアという単位で構成されています。
筋肉の収縮と弛緩のメカニズム
筋肉が動く仕組みを簡単に説明しますと、まず平常時(リラックス時)は筋肉が自然な長さで伸びている状態です。そして関節を動かして運動する時には、筋肉内のミオシンという物質の両端についているヘッド(頭のような部分)が、アクチンという物質にくっついて引っ張る動作をします。
この時、アクチンとミオシンの間にあった空間が縮まり、お互いが重なり合うような状態になります。つまり、筋肉が収縮している時は、内部の構造が重なり合って全体的に短くなっているということです。弛緩時の長さと収縮時の長さを比べると、明らかに違いがあります。
実際に筋肉を触ってみると、力を入れている時は筋肉がもりっと盛り上がって硬くなっているのを感じることができますね。
硬くなった筋肉の特徴
このように筋肉は収縮と弛緩を繰り返して働いているのですが、同じ動作を繰り返し何回も行い、きちんとケアをすれば本来は元の長さに戻るはずです。しかし、疲労が蓄積されていくと、この弛緩時の長さに戻らず、収縮している時に近い短い状態のままになってしまい、そこから戻りにくくなってしまうのです。
なので硬くなった筋肉というのは、短く太くなっている状態なのです。なぜ短く太くなるのでしょうか?短くなるのは、アクチンとミオシンが引き寄せられた状態が続くからです。では太くなるというのはどういうことかと言いますと、内部の隙間がなくなって重なりが大きくなることで、筋肉に厚みが出てくるということなのです。
例えば、弛緩している時の筋肉の長さを基準とすると、アクチンとミオシンが収縮した働いている状態が続くと、ぎゅっと短くなったまま元に戻らなくなり、さらに厚みが出て太くなってしまいます。
このようなイメージで考えると、筋肉のことがとても分かりやすくなると思います。
僧帽筋上部線維について
ここからは、「筋肉が硬いんです」とおっしゃるお客様に必ずと言って良いほど見られる、硬くなりやすい筋肉についてお話しします。それが僧帽筋です。
僧帽筋は上部線維・中部線維・下部線維という3つの部分に分かれているのですが、筋肉の硬さを訴える方に最も多く見られるのが上部線維の硬化なのです。
では、この上部線維が硬くなると、身体にどのような変化が起こるのでしょうか。
本来、僧帽筋は餃子の皮程度の薄さを持つ、比較的薄い筋肉です。しかし、収縮したまま元に戻りにくくなって硬くなってしまった僧帽筋上部線維は、先ほどご説明した「短く太くなった筋肉」の典型例となります。
特に注目すべきは、僧帽筋上部線維の付着部位です。この筋肉は肩の後ろ側から肩のトップ部分を巻き込むようにして鎖骨まで繋がっているため、硬くなると肩全体が分厚く盛り上がったような状態になってしまいます。
つまり、僧帽筋が本来の餃子の皮のような薄さで正常に働いている時は、首から肩にかけてスーッとした美しいラインを作ることができるのですが、硬くなってしまうとその美しいラインが失われてしまうのです。
このような状態の方に対して、動画では収縮して伸びにくくなってしまった硬くなってしまった僧帽筋上部線維に対してピンポイントで皆さんが1回の施術で結果を出せる特化した施術テクニックをお教えしていますので、ぜひご覧ください。
まとめ
筋肉が硬くなる理由は、単純に「加齢」だけではありません。実は「使わないから硬くなる」というのが主な原因なのです。筋肉は使わないと抵抗性が上がり、サルコメアの数が減ることで硬くなってしまいます。
硬くなった筋肉は短く太くなっている状態で、特に僧帽筋上部線維は多くの方が硬くなりやすい部位です。本来餃子の皮のように薄い僧帽筋が、収縮したまま戻らなくなることで分厚い肩になってしまいます。
この理解を深めることで、お客様により適切な説明ができるようになり、効果的な施術が可能になります。
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私が学長を務めるMTI(マッサージセラピー・インスティテュート)では、アメリカのニューヨークにあるスウェディッシュ・インスティテュートで学んだマッサージセラピーを教えています。これは運動療法から発展して機能改善を目的としたアメリカ発のオイルマッサージです。このスクールには、不調の原因を理解し、お客様一人一人に合わせた質の高い施術をしたいという方が入学されています。
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